■職人の経験と勘が最も重要

台車に乗せられた原木を豆腐を切るような単純な作業をしているかに思ってしまいます。
実は職人の経験と勘が最も頼りになる仕事です。

伐採した木材を製材するときまず考えるのが木の曲り方『クセ』です。
木は山の斜面に立っていることが多く根本は角度調整のため曲っています。
この谷側部分に負担がかかり『冬目』が大きくなり『アテ』が強くなり曲りやすい木材になります。
挽き方の順番次第で材料が無駄になってしまうことがあります。

日光の当たり方によっても木の太り方が違います。 製材するときの材木芯に樹芯を出来るだけ合わせないと乾燥した時に曲がりやすい材料となってしまいます。 この見極めも経験と勘が大変重要になってきます。

■木の特性を引出す乾燥技術とは?

木材の高温急速乾燥は『木の特性を損ない』、『強度劣化』を引き起こしやすい点が問題です。
スギの白太の部分は比較的早く乾燥しますが、赤身の部分は乾燥がむずかしくなります。
木材は本来、何年もの歳月をかけ天然乾燥すると杉材の特性を十二分に発揮します。今では時間的なニーズから高温急速乾燥が主流になってきました。
高温急速乾燥と呼ばれる方法は、窯に材料を入れ、急激に120℃位まで温度を上げます。そうすると材料の外側、内側共に沸騰状態になります。
液体である水分を気体に変えて乾燥させます。おもりによって拘束され乾燥した木材の変形はその内部へと働き『内部割れ』を発生します。
この他、高温により破壊された細胞は精油分が低下しカンナが掛けられなくなり、『モルダ―』と呼ばれるヤスリをかけ寸法調整しています。また、色は黒く少し炭化したような臭いになります。芳香性や消臭効果、抗菌効果といった木の特性が極めて低くなります。

■木の特性を最大限に引き出す乾燥技術にこだわります。

弊社では天然乾燥により近づけるため、伐採時120%位あった含水率を自然乾燥で55%位まで下げ、沸騰状態にしない90℃以下の環境で乾燥させた材料を使用します。

高温乾燥窯からの出庫の状態

色は黒ずんで、炭化したような
臭いがします。

天然乾燥の状態

細木で桟積し、材木に風をあてながら
含水率さげます。

中温乾燥窯からの出庫の状態

色艶が非常によく
スギ独特のいい香りがします。